スペイン カラオラ(Calahhora) 帆立貝の導く道

ほたて



パラドールは、もうクリスマス装飾一色。でも、玄関付近に気になるきらびやかな家具があった。近づいてみると、見事な縁取りの引き出しに、貝のボタンのような引き出し口が!(写真参照。ピンボケ御容赦!)


これは、帆立貝である。そう、このあたりは、サンティアゴ・デ・コンポスティーラへ行く、巡礼路なのだ。巡礼者は、帆立貝を身に付けるので、帆立貝は巡礼者のシンボルなのだ。


でも、なぜ帆立貝なのか?その昔、巡礼者たちは、身軽な格好で、長い旅路に出た。雨風をしのぐための長衣だが、歩きやすいように前が開いているものをまとい、サンダルのような軽い靴、それに、ひょうたんと、帆立貝だ。ひょうたんは、水やワインを入れるため、つまり水筒代わり。そして、帆立貝は、お皿代わりだったらしい。


昔は、巡礼の記念に貝を持って返る習慣だったらしいが、その実用性の高さのためか、往路でも持っていくようになり、今では、サンティアゴへの巡礼者のみのシンボルになった。巡礼路近くの道路を走っていると、よく帆立貝の看板や、シンボルが目に付く。これは、歩く巡礼者のために、順路を指し示しているのだ。だから、巡礼者は、帆立貝の印に沿って歩けば、迷わずに目的地へつける。


そういうわけで、この付近は、帆立貝をあしらった装飾品や家具、グッズも多い。帆立貝ネックレスや、ひょうたんペンダントなどもお土産屋さんで売られている。帆立貝を身に付けると、巡礼者だとすぐわかるので、みな親切にしてくれるそうだ。


でも、日本のお土産に買うのは、ちょっと考えてしまう。意味がわからなければ、ただの安っぽいお土産だと思われるのかもしれないから。