Marioレポート8

グロリア



3.12月23日 (その3)

 貧しい子供たちは、いつも同じボロの服を着て、裸足で歩いています。そして、あからさまにお金を要求し、時には私のポケットの中に手をつっこんできます。ホンデュラス国内の唯一のアジア人司祭、ベトナムのホセ・チェク・トラン師は、新聞のインタビューで、こう答えています。
「あの日(12月23日)事件のニュースを聞いて、私は現場へ駆けつけました。そして、その流血と惨状を見て、30年前のベトナムをはっきりと思い出しました。まるで、時間が戻ったかのようでした」
「必要なのは、たくさんの仕事とたくさんの教育、そしてたくさんの食事です。空腹では、考えることすら出来ないからです。私は、それをよく知っています。私は今、公共の食堂を計画中です」
 
 新年に発表された信頼できる全国紙の世論調査によれば、「今年のあなたの目標は?」という質問に対して、一番多かった返答は、「仕事を見つけること」の33.3%でした。ついで、「良い教育を受けること」の30.3%。

 「この国が直面している問題で、一番大きなものは?」という質問に対して、一番多かった返答は、「犯罪と安全性」の53.9%、ついで「汚職」の27.2%。そして「失業」の26.5%。

 そして、「この国で生きることはあなたにとって問題か?」という質問に対して、実に95.4%の国民が、「その通り」と答えています。

 私の帰国が間近に迫ったある日、私の滞在している孤児院の女の子の2人の兄が、殺されるという事件が起きました。強盗に襲われたのです。孤児院のシスターたちは、私の帰国のために、空港まで車と運転手を手配してくれました。私が出国する国際空港は、事件のあったサン・ペドロ・スーラにあるからです。11月に私がそこから入国したときは、まだひとりでバスに乗って来られました。しかし、今はもうそれでは危険なのです。
 それは、もはやニュースではなく、彼らと共に分かち合った、彼らの現実でした。
[写真: ぬいぐるみフェチのグロリア(10)。両親に捨てられ、両親の姓を使っていない]