スペイン タルタ・デ・サンチアゴ

サンチアゴ



もうすぐ、クリスマス。そうなると、どこもかしこも、クリスマスのケーキが街を彩ります。グランビア近くの日曜マーケットでは、ワインやケーキやチーズやアーモンドが、クリスマスセールという名目で安く売られていました。


でも、今日はそのクリスマスの伝統ケーキ(クリスマス近くなったら紹介します)ではなく、そのマーケットで6ユーロで買った、ガリシアのタルタ・デ・サンチアゴをご紹介(写真参照)


ベースは、アーモンドの焼き菓子。それが、またモイスチャーで、なんともいえないいい香りと食感です。カステラにアーモンドとミルクを混ぜたような味、といったら、想像できるでしょうか?


でも、一番の特徴は「剣の十字」のアイシング。いつも、なんで剣なんだろうなあ、と思っていたら、理由がちゃんとありました。「サンチアゴ」というのは、「聖ヤコブ」のこと。そう、スペインの北にある、巡礼路(カミノ・デ・サンティアゴ)の最終地点、「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」の「サンティアゴ」のことです。


キリストの使徒の一人だったヤコブは、AD44年頃ににエルサレムで殉死したと伝えられ、遺体がどこへいったか、わからなかったのが、船に乗せられて、このガリシア地方へ流れ着いたと言われている。それを神のお告げで知った修道士ペラギウスという人が、そこへ行ってみたら、お墓があったということ。(でも昔のことなので、それが本当かどうかは確証なし)


とにかく、そのお墓(とされる)地に教会が立ち、巡礼者たちの目的の地となっているわけだ。


で、剣である。スペインがイスラムの勢力に押されていた844年、キリスト教の信者達は、壮絶な戦いを続けていた。クラビーホの戦いと呼ばれる戦闘に、聖ヤコブが馬に乗って現れ、キリスト教軍を率い、勝利に導いた、という。(これも伝説)。それから、聖ヤコブには、「サンティアゴ・マタモロス」(ムーア人殺しのヤコブ)というあだ名がつけられ、その剣は、ヤコブのシンボルになったらしい。


十字架を剣で示す、この印は、巡礼路にある教会や街に見ることができる。だから、お菓子にも「剣十字架」がほどこされている。こういうエピソードを聞いた後に、タルタ・デ・サンティアゴを食べると、また美味しく感じられる(?)ので不思議だ。


[vengavale 今日のいちおし] (本)「中世の巡礼者たち」
中世の巡礼者たち―人と道と聖堂と
興味を持った方は、詳しい話しを読んでみよう。結構長いけど、非常に詳しく巡礼のことが載っている本です。